ゆるやかに桜を楽しむ
今年も桜をつぼみから三分、五分、七分、満開と見て、そろそろ散りはじめ。雨風にたたられ、明日もしひどく降れば、もうおしまいかもしれない。
桜ほど、記憶を重ねる花というのも珍しい。咲くさま、散るさまの美しさもさることながら、出会いと別れの季節であった4月末から4月はじめという時期、わずか10日弱ほどの見ごろの短さ。そういったものがあいまって、一年一年の桜の記憶が積み重なって、年を経てどんどんと、さらにさらに、見ている側に強い感情をよびさますようになる、そういう花だ。
よくお年寄りが、「来年はもう見られないかもしれないから…」というのも納得できる。故人との記憶の中にも咲きつづけている花であるがゆえにも、なのだろうなと思う。
だからこそ桜は、はなやかなにぎわいのあるところで見るのがよさそうだ。思い出で苦しくなってしまいそうだから。
小石川植物園は、子供がのびのび遊べるほど広く、宴会ができないので、親子づれがたくさんいた。
笑顔よし花見の親子に孫ひ孫 翠風
幼子が集めて散らす花ふぶき 翠風
痛いほど花吹きつける無情風 翠風
花を見てもの想うまで年経りぬ 翠風
ひとひらの花にゆずったお茶の缶 翠風
咲き満ちる前後左右の花迷宮 翠風
花ただ咲け年年歳歳など言わず 翠風
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